MAC OS X COCOAプログラミング 第4版
種類 | 情報 |
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著者 | アーロン・ヒレガス/アダム・プレブル |
監訳 | 東京電機大学 |
発行日 | 2014年5月20日 第4版第1刷発行 |
発行 | 東京電機大学出版局 |
感想
Mac OS Xで開発するときによく使われる機能について、解説した本。
使用している環境はこんな感じ。
全体の方針としては『浅く広く』って感じ。よく使われるコントロールの話からCore DataやOpenGLの話まで。とにかく、扱ってる内容は幅広い。ただし、どの項目もそんなに詳しく説明してあるわけではない。本当に使おうと思ったら、そこから先は自力で調べろって感じ。
扱ってる内容が幅広いのは良いことだと思うんだけど、説明する順番に一貫性がないのは微妙。例えば、Objective-Cの言語仕様に関する話を取ってみても、プロパティとかプロトコルとかカテゴリとか、出てくる場所がバラバラ。Core Dataとかバインディングの話とかも、もうちょっと、ちゃんとまとめて説明したほうが良かったんじゃ?
過去の版に比べると、以下の様な項目が増えてる。たぶん。
- Xcode 4の話
- ARC関係
- ブロック
- ViewベースのTableView
- Mac App Store
- iOSの開発の話
項目が増えてると言っても、そこそこ、使えるようになる程度の説明にとどまってる。さらに細かいことは自分で調べろ、と。
この本の最大の問題点は『発売日の時点で、すでに時代遅れになってる』って事かと。
32ビット/64ビットの違いに関する話がない。Auto Layoutの話も無い。もちろん、NSURLSessionの話も無し。2年遅れで翻訳して出すんなら、10.8や10.9で追加になった機能について、簡単にまとめた章をつけるぐらいしてくれても・・・ 第4版が日本語で出ただけマシって考えるべきなのか?
個人的には、プロパティのドット記法について、『混乱を避けるため、本書ではこの方法を使いません』って言ってたのに、Core Animationの章で急に使いはじめるのが笑えた。古い記法で書くのが面倒になったんだろうね。・・・どうせなら、全部の章でドット記法を使うように書き換えればいいのに。
いろいろと問題があるような気もするけど、それでも、OS Xの開発に関する本でこれだけ充実した内容の物が他にないのも事実。これから、OS Xでソフトを作る人なら一度は目を通しておく価値があるかと。出来れば、手元に置いておくのがおすすめ。
『全くの初心者がこの本だけでOS Xのソフト開発ができるようになるか?』って言われると・・・ それは無理。そういう本ではない。まず、Objective-Cの言語に関する本を別に読んで、その後、これを読むのが良いかと。
昔の偉い人が『半切れのパンでも無いよりはマシ』って言ってたけど、まさにそんな感じの本。どうしてこれが、東京電機大学から出たのかは謎。
おすすめ指数:☆☆☆☆+
(2014/05/20 読了)